モノ書きの「こまり」です。映画、舞台、音楽、ごはん、お酒、そのあたりのことを書いたり、描いたりしています。ときどき歌ったり、踊ったりもしています。
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山内圭哉への長い道のり(5)

うさんくさいおかっぱ頭に黒ぶち眼鏡のスーツ姿。
挙動不審な動きで、怪しげな関西弁のひとりごとを
ぶつぶつとつぶやく
食器用洗剤の営業部所属の橋本けんじくん
(くん、まででフルネーム)。

危ない。
台詞というより、存在感が危ない。
心の中で、橋本左内の姿を思い返してみました。
ただでいいよ、と歳三がくれた石田散薬をすまなそうに両手で抱え、
「ほんとうは、怪我なぞしたくはないのですが」。
…同じ橋本でもこの違い!

しかしです。剣を抜いた瞬間。
というか正しいプロセスは、
眼鏡をはずし、鬘を投げ捨てて、剣を抜いた瞬間。
橋本けんじくんは豹変しました。
関西弁はそのままにぐっとトーンが低くなり、
鋭い目つきで相手を見据えるけんじくん。
坊主頭です。
しかし後頭部、首筋のすぐ上あたりにちょっとだけ髪の毛があります。
なるほどモヒカンでした。
ちなみにあご髭もあります。
腰の座ったすばやい動きと、豪快な軌跡を描いて火花を散らす剣先。
思わずうなった。格好いい!
そう、けんじくんの真の姿は姫をお守りするすご腕の剣士。
そこには紛れもなく、みずからを信じて幕末を駆け抜け、
そして散っていった橋本左内が内在していたのです。

そして戦い終えて剣を鞘におさめ鬘をかぶり直した途端、
ふたたび危ないサラリーマンに戻るけんじくん。
このボケなのかつっこみなのかわからない
珍妙かつ的確なリズム感、
それは今思えば左内が日本国存亡の熱弁をふるっている最中に
勇の父(田中邦衛)が柱の陰から手招きしているのに気づいた瞬間の
見事な“二度見”そのものではないですか。

アクションあり、スペクタクルあり、ファンタジーあり。
久しぶりに観た富田靖子ちゃんはあいかわらずかわいらしく、
佐藤康恵ちゃんの手足はあっけにとられるほどに長く、
腹筋膳之助さんの一人芝居は長く懐かしく、
なぜかカーテンコールで感極まってしまったユースケさんにつられて
ちょっと涙したりもして、幕。
十分すぎる、初めての生・初山内圭哉デーでした。

ちなみに、家に帰ってパンフレットを開いてみたところ、
山内圭哉ページには、
幼稚園の庭らしきところで、なんともいえない濃い顔で
こちらに視線を向けている橋本けんじくんが映っていました。
なに、子役から活躍。バンドマン。そうなのか。
そしてスタッフ一覧のページを見てみると、舞台音楽担当とある。
さらには、このパンフレットのなかでもかなり笑えた企画、
出演者それぞれの特質を端的に表した
「パワーグラフ」の監修も後藤さんとともに担っているらしい。


…深い。深すぎる、山内圭哉。

(おわり)
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by komarius | 2005-07-29 17:21 | 舞台